厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」で〇〇が浮き彫りに!?
厚生労働省は、2022年3月、更年期における健康課題や疾患の予防・健康づくりへの支援の在り方を検討することを目的として、更年期症状等についての実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニーズ等を明らかにするために「更年期症状・障害に関する意識調査」を実施しました。
今回は、その調査結果を解説するとともに、そこから浮き彫りになった問題点について触れていきたいと思います。
なお、記事の内容は男性にフォーカスした内容になっています。
厚労省の調査結果は、外部リンクページよりご覧いただけます。
更年期症状・障害に関する意識調査の概要
まずは、「更年期症状・障害に関する意識調査」の概要です。
【表は、右方向にスライドしてご覧いただけます。】
調査目的等 | 更年期における健康課題や疾患の予防・健康づくりへの支援の在り方を検討する。 更年期症状等についての実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニーズ等を明らかにする。 本調査結果は、必ずしも医療機関における「更年期症状」や「更年期障害」の診断ではなく、回答者による主観的な「更年期症状」をベースに集計したものである。 今後、本調査結果等を踏まえつつ、厚生労働科学研究において、より詳細な調査を実施する予定。 |
調査方法 | 調査会社への登録モニターを対象としたインターネットによる調査 |
調査対象 | 全国の 20 歳から 64 歳の男性 2,025 人(回収数)を対象。 調査対象の抽出に当たっては、全国8ブロック(北海道・東北・関東・東京・中部・近畿・中国四国・九州沖縄)別に、性別・年代別の構成について更年期症状の生じる可能性の高い年代に比重をおいた割付を実施。 |
実施時期 | 2022年4年3月 25 日(金)~2022年4年3月 28 日(月) |
注意点 | 「更年期症状」とは、回答者本人の主観に基づくもので、医師による診断に基づかない場合も含まれます。 そのため、他の疾患に起因する症状も含まれている可能性があります。 |
更年期症状・更年期障害の定義
調査における定義について確認をしておきましょう。
- 更年期症状
- 更年期障害
の2つについてです。
更年期症状
更年期に現れる様々な症状の中で他の疾患に起因しないものをいいます。
症状としては、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、頭痛、関節痛、冷え、疲れやすさなどの身体症状及び気分の落ち込み、意欲低下、イライラ、不眠などの精神症状があります。
更年期障害
更年期症状により日常生活に支障を来す状態を指します。
なお、男性の更年期障害については、概ね40歳以降に男性ホルモン(テストステロン)の減少により、女性更年期障害と類似した症状を呈しますが、病態が複雑で、まだ十分に解明されていないのが現状です。
更年期障害の可能性
男性では圧倒的に、「考えたこともない」、「疑ったこともない」とする割合が90%前後となり、男性更年期障害への認識の低さが浮き彫りになっています。
症状が出ても、単に「加齢だから」、「歳をとったから」程度の認識なのです。
医療機関への受診により、更年期障害と診断された/診断されている割合
この結果は、一見すると低い数値に見えるのですが、現状を紐解いてみると、更年期症状があっても、そもそも医療機関を受診していない、受診しても更年期障害と診断されていないなどが考えられます。
- 40~49歳 1.5%、
- 50~59歳 1.7%
- 60~64歳 0.9%
更年期障害の可能性があると考えている割合
この数値も低いですね。
ドストライクの40代では10%にも達していません。男性更年期障害自体の認知不足も、原因の一つです。
- 40~49歳 8.2%
- 50~59歳 14.3%
- 60~64歳 13.6%
考えたこと・疑ったことがない割合
そもそも男性更年期障害自体を知らない、知っていても「まさか自分が…」という認識なのでしょう。
- 40~49歳 90.3%
- 50~59歳 83.9%
- 60~64歳 85.4%
更年期症状を自覚し始めてから医療機関受診までの期間
症状を自覚しても「受診しない」と回答した割合が90%前後となっております。
「受診するまでもない」と考えている人が多く、結果症状の悪化につながっている可能性も否定できません。
男性目線の可能性としては、症状があっても周囲に弱音を吐けない、いざ受診しようとしても、どの病院で受診していいかわからないなどの原因がありそうです。
「すぐに受診した(1か月未満)」、「1か月程度してから」及び「3か月程度してから」を合わせた割合
- 40~49歳 9.2%
- 50~59歳 6.1%
- 60~64歳 4.2%
受診していない割合
- 40~49歳 86.6%
- 50~59歳 86.5%
- 60~64歳 92.8%
更年期症状を自覚している人の日常生活への影響
更年期症状が一つでもあり、かつ日常生活の内訳のうち一つでも影響があるとしている回答者(男性:1,266 人)を対象として、更年期症状がある人について、どの程度日常生活(「家事」、「買い物など日常的な外出」、「育児、子どもの世話」、「家族の介護・介助」、「友人・知人、近所の人とのつき合い」、「社会活動」)に影響が出ているかを尋ねた結果です。
「とてもある」及び「かなりある」を合わせた割合
ドストライク世代では、おおよそ10%が、日常生活に支障があると回答しており、症状がかなり進行または悪化しているレヴェルです。
外部環境である、仕事への影響の方が出やすいと言われていますが、これが日常生活ですからね。
状況は、深刻です。
- 40~49歳 10.6%
- 50~59歳 8.4%
- 60~64歳 2.4%
「少しある」
- 40~49歳 20.0%
- 50~59歳 16.8%
- 60~64歳 15.3%
「ほとんどない」
一方、70%から80%の方々が、「影響がない」と回答しています。
一見すると、問題ないようにも思えますが、この段階で然るべきケアを心がけていかないと、症状の悪化につながりますので注意が必要です。
- 40~49歳 69.4%
- 50~59歳 74.9%
- 60~64歳 82.2%
更年期に関する知識や理解(男性更年期にまつわる不調があること)
よく知っている
意外なのが、20代の若い世代でも認識があると言うことです。自身が更年期障害という可能性は低いと思いますが、もしかしたらご家族などを通じて知る様になった可能性もあると考えられます。
- 20~29歳 9.6%
- 30~39歳 10.6%
- 40~49歳 10.1%
- 50~59歳 15.7%
- 60~64歳 16.5%
聞いたことはあるが、内容について詳しく知らない
- 20~29歳 28.2%
- 30~39歳 35.0%
- 40~49歳 42.5%
- 50~59歳 47.5%
- 60~64歳 50.9%
更年期に入る前にほしい(ほしかった)情報
まずは、設問を全て確認してみましょう。
- 主な更年期症状の内容や程度
- 主な更年期症状に対する対処法
- 医療機関(婦人科等)を受診する目安
- 受診すべき診療科の情報
- 医療機関(婦人科等)の特色や評判・口コミ等の情報
- 医療機関(婦人科等)の診察内容(問診、触診、内診等)や受診にかかる費用
- 医療機関(婦人科等)での自身の症状の伝え方
- 更年期症状について、相談できる先
- 更年期症状について家族、学校、職場等への伝え方
- その他
男性の回答では、
80%前後を占める「特にない」を除き、
- 「主な更年期症状の内容や程度」
- 「主な更年期症状に対する対処法」
- 「受診すべき診療科の情報」
の順で、多い回答になりました。
「受診すべき診療科の情報」は、男性更年期障害を疑っても、受診すべき診療科がわからないという実態が浮き彫りになった結果です。