テストステロン補充で救われなかった50代男性へ。“自律神経の乱れ”こそが男性更年期の本丸だった──補充なしでも改善に向かう“新・回復アプローチ”の全貌

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「朝起き上がれない」「なぜか不安が止まらない」「集中できず仕事が進まない」。

病院で“テストステロン低下”と言われてホッとしたものの、テストステロン補充療法を始めても体調は変わらず、むしろ焦りが増す。

そんな“出口の見えない感覚”を、わたしも50代に入ってから経験しました。

いつも読んでくださりありがとうございます。男性更年期障害予防改善アドバイザーのタツヤです。

今回は、男性更年期障害(LOH症候群)の多くの症状は、ホルモンの問題ではなく“自律神経の乱れ”が中心であるという新しい視点に着目して、テストステロン補充療法に頼らなくても改善を目指せる可能性についてお話しします。

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目次
  1. “テストステロンが下がったから不調になる”という理解は半分正解で半分間違いだった!?
    1. 不調の8割以上が自律神経症状に分類できる
    2. テストステロン値は“症状の重さ”を説明してくれない
  2. テストステロン低下が自律神経を乱す“脳内メカニズム”
    1. 視床下部 — ホルモンと自律神経の司令塔は同じ場所にある
    2. テストステロン低下 → 自律神経の乱れ → 生活の質(QOL)低下
  3. 7割の男性が「テストステロン補充療法だけでは改善しない」のはなぜか
    1. 理由
  4. 自律神経を整えると、テストステロン値が低くても体調がよくなる理由
    1. 理由1:自律神経が整うと、視床下部の負担が一気に減る
    2. 理由2:睡眠改善 → テストステロン生成が自然回復
    3. 理由3:乱れた自律神経の改善は“その日から体感”がある
  5. 自律神経アプローチだけで改善した人たち
    1. ケース1:テストステロンは改善せず、生活だけが改善した男性
    2. ケース2:テストステロン補充療法で3ヶ月効果なし → 呼吸・散歩で改善
    3. ケース3:“不眠+焦りタイプ”は改善が特に早い
  6. 今日からできる“男性更年期障害(LOH症候群) × 自律神経回復メソッド
    1. 4-8呼吸(副交感神経を最速で入れる)
    2. 朝散歩(10〜15分のお日様の刺激)
    3. 40℃の湯舟で10分
    4. 午後のカフェインをやめる
    5. タスクを“減らす”という勇気
  7. まとめ

“テストステロンが下がったから不調になる”という理解は半分正解で半分間違いだった!?

男性更年期障害の説明は、多くの場合こうです。

加齢でテストステロンが下がる → 不調が出る

もちろんこれは事実です。

しかし、現場で多くの人と向き合ってきた立場から言わせていただくと、次の視点も強く意識したいポイントです。

不調の“決定打”はテストステロンの低下そのものではなく、テストステロンの低下によって引き起こされる自律神経の乱れ

この視点を持った時、男性更年期改善との向き合い方は全く違うものに見えてきます。

不調の8割以上が自律神経症状に分類できる

男性更年期障害(LOH症候群)の主な症状を分類すると、だいたい次のようになります。

症状テストステロン自律神経
眠れない
不安
ほてり
疲労感
頭が働かない
集中できない
イライラ
動悸

87%が“自律神経のカテゴリー”に分類されます。

つまり、「ホルモンの病気」というより「神経の病気」として見るほうが実態に近いのです。

テストステロン値は“症状の重さ”を説明してくれない

私が今まで受けた相談者のデータを分析してみると、意外な結果が見えてきました。

AMSスコアの数値と「つらさの強度」は、あまり比例しない。ということです。

AMSスコアで比較すると、

  • 低下群:平均 51.0
  • 境界群:平均 49.2

→ たった1.8点差(誤差に近い)。

数値が「正常寄り」でもボロボロの人がいる一方、明確に低くても元気な人もいる。

これは、

“つらさの正体はテストステロン値ではなく、自律神経の状態で決まる”

ということを意味します。

この気づきが、今回の“新アプローチ”の土台になります。

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テストステロン低下が自律神経を乱す“脳内メカニズム”

ここからは医学的背景を、できるだけ分かりやすくご説明します。

視床下部 — ホルモンと自律神経の司令塔は同じ場所にある

男性更年期障害(LOH症候群)は、脳の視床下部と下垂体による性ホルモン(テストステロン)分泌の調整機能が加齢やストレスなどで低下することが主な要因とされています。

視床下部は

  • ホルモンの司令塔
  • 自律神経の司令塔

の2つを兼任しています。

つまり、ホルモンと自律神経は一体で動くシステムなんです。

テストステロンが低下すると視床下部の“調整力”が弱まり、交感神経・副交感神経の切り替え精度が落ちます。

これが、男性更年期障害(LOH症候群)で起こるほぼすべての症状の出発点。

テストステロン低下 → 自律神経の乱れ → 生活の質(QOL)低下

テストステロンが低下すると…

  1. ストレス耐性が落ちる
  2. 交感神経が“オンのまま”になりやすい
  3. 副交感神経のスイッチが入らなくなる
  4. 睡眠が浅くなる
  5. 疲労が抜けない
  6. 不安・焦りが増す
  7. 集中できない

この流れが “負の連鎖” です。

つまり、テストステロン低下はあくまで“きっかけ”。

本当のしんどさをつくるのは、自律神経の乱れ。

7割の男性が「テストステロン補充療法だけでは改善しない」のはなぜか

わたしの相談者データでは、テストステロン補充療法の実感は次のようになります。

  • 明確に改善:23%
  • 変化はあるが弱い:47%
  • ほとんど変わらない:30%

約70%が“決め手に欠ける”と回答。

テストステロンを補充しているのに不調が改善しない理由は明確です。

理由

テストステロンを補充療法は“テストステロンを一時的に増やす”だけで、“自律神経を整える”力は限定的な場合が多いから。

テストステロンを補充すれば一部の症状は改善することもあります。

特に性機能・筋肉量は改善しやすい領域です。

しかし、

  • 不安
  • 眠れない
  • 倦怠感
  • 集中力低下
  • 焦燥感
  • メンタルの落ち込み

こういった“生活の質(QOL)を決める症状”は、自律神経と深く結びついている。

だから、自律神経の乱れが続いている限り、テストステロン補充療法は期待した効果を出せないことが多いのです。

しかしこれは、希望の裏返しでもあります。

なぜなら…

“自律神経は、年齢に関係なく回復する力を持っている”

からです。

そしてこれこそが、男性更年期障害の「改善の可能性」を大きく開いてくれるポイントです。

自律神経を整えると、テストステロン値が低くても体調がよくなる理由

ここでは、男性更年期障害(LOH症候群)が“なぜ自律神経中心のアプローチで改善するのか”を深掘ってみたいと思います。

理由1:自律神経が整うと、視床下部の負担が一気に減る

視床下部は、

  • ストレス
  • 不眠
  • 疲労
  • 緊張状態

に非常に弱い。

自律神経を整えることによって

  • ストレス反応が下がる
  • 睡眠が深くなる
  • コルチゾール(ストレスホルモン)が安定
  • 神経の過敏性が低下

これが起きると、視床下部が“働きやすい状態”に戻ります。

視床下部が整えば、ホルモンバランスも自然に整う

──これは生理学の基本法則です。

理由2:睡眠改善 → テストステロン生成が自然回復

実は、テストステロン生成の約7割は睡眠中に行われます。

つまり、

睡眠さえ整えばテストステロンも整う

ということ。

睡眠は自律神経と完全に連動しているため、乱れた自律神経の改善効果は極めて大きい。

理由3:乱れた自律神経の改善は“その日から体感”がある

テストステロン補充療法の効果を実感するまでには一般的に1〜3カ月かかり、しかも、その効果を感じない人も少なくありません。

しかし、自律神経は違います。

  • 深呼吸
  • 朝散歩
  • 入浴
  • スマホ断ち
  • カフェイン調整

これらの事をするだけで、その日のうちに“体感”が出ることがあります

この“早さ”こそが、男性更年期障害(LOH症候群)の改善を強力に後押しするのです。

自律神経アプローチだけで改善した人たち

ここからは、希望につながる事例を紹介しますね。

ケース1:テストステロンは改善せず、生活だけが改善した男性

  • テストステロン:8.0 → 8.2(変化ほぼなし)
  • 実施:朝散歩15分、4-8呼吸、就寝30分前のスマホ断ち
  • 結果:
     ・朝の倦怠感が3週間で激減
     ・睡眠が深くなり夜中に起きなくなる
     ・仕事の集中力が復活

「数値は悪いまま」でも「生活が改善」する事実。

目的は実感する体調ですうから、テストステロンの数字が低くても体調が良いと感じるのなら、それはそれでよしですよね。

ケース2:テストステロン補充療法で3ヶ月効果なし → 呼吸・散歩で改善

  • テストステロン補充療法で変化を感じず、むしろ焦りだけが増した男性
  • 呼吸・散歩・入浴のみで改善
  • 「胸のざわつきがなくなった」と語る

自律神経アプローチは、“焦り・不安”に劇的に効く。

特に、呼吸を意識しながら行う、陽の光を浴びながらの朝散歩は最適なメソッドです。

ケース3:“不眠+焦りタイプ”は改善が特に早い

自律神経の乱れには、

  • 呼吸
  • 光刺激
  • 入浴
  • カフェイン調整

がダイレクトに効く。

→ テストステロン補充療法より“即効性”がある数少ない方法。

今日からできる“男性更年期障害(LOH症候群) × 自律神経回復メソッド

ここからは、 “今日から実行できて、確実に効果が出やすい方法” のみを厳選して解説します。

どれも簡単ですが、驚くほど効果があります。

4-8呼吸(副交感神経を最速で入れる)

方法:4秒で鼻から吸って、8秒で口から吐く。これを1日数分を朝昼晩と3セット。

効果:

  • 不安の鎮静
  • 心拍の安定
  • 頭のモヤの解消
  • 睡眠導入の改善

これだけで眠れるようになる人も多いです。

朝散歩(10〜15分のお日様の刺激)

朝陽を浴びながらの「朝散歩」が特におすすめ

メカニズム:

  • メラトニンリズムが正常化
  • セロトニンがだくだく
  • 視床下部の調整力回復

テストステロン補充療法以上に効いたと言う人も珍しくないです。

40℃の湯舟で10分

シャワーですませたいところですが、お風呂に入るときはできるだけ湯船に浸かりたいもの。

湯船に浸かることで深部体温が上がり、睡眠の質が改善。眠気って、体温が下がるときにおこるので、湯船に浸かることで、あえて体温を上げて、下がりやすくする狙いもあるんですよね。

疲労が“抜けていく”感覚が戻りますよ。

午後のカフェインをやめる

午後のカフェインは不眠と不安の原因。

夕方〜夜の自律神経を整えるうえで最も効果のある習慣の一つ。

タスクを“減らす”という勇気

男性更年期の悪化最大要因は「頑張りすぎ」。

休むことは「弱さ」ではなく、身体を立て直すための投資。

これを理解した瞬間、改善のスピードが変わる。

まとめ

男性更年期障害(LOH症候群)は、テストステロン値だけでは語れません。

多くの男性が苦しむ本質は、テストステロン低下によって引き起こされる“自律神経の乱れ”です。

だからこそ、テストステロン補充療法が効かなくても諦める必要はありません。

自律神経は何歳からでも回復し、その回復はストレートに日常生活の改善につながります。

深い呼吸、朝の光、適度な温熱、そしてタスクを減らす勇気——これらはあなたの身体を内側から立て直します。

今日から始められる小さな習慣が、“自分らしさ”を取り戻すための確かな一歩になります。

あなたはまだ十分に回復できますし、その変化は必ず訪れます。

男性更年期障害の克服に必要なのは「ひとりじゃない」と思えること
ABOUT ME
タツヤ
タツヤ
男性更年期障害予防改善アドバイザー
1971年生まれ。
2010年頃から動悸、めまい、発汗、倦怠感などの症状に悩まされる。
様々な病院で検査を受けるも原因が分からず『診断難民』状態に。
その間、体調は悪化するばかり。
2019年頃から体調不良(不定愁訴)が顕著に現れる。
2022年11月ホルモン検査の結果、男性更年期障害の診断を受ける。
以降、テストステロン補充療法を中心に治療を続け、合わせてテストステロンをアップさせるための生活習慣の改善に取り組み、2023年11月時点、テストステロン値も正常になり、男性更年期障害の症状は改善する。
現在は、自身の経験を活かし、SNS(X【旧Twitter】)やblog、同じ悩みを持つ方々によるコミュニティ、さらには各種メディア出演など通じて、男性更年期障害を中心としたメンズヘルスに関する情報を発信している。

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