読者インタビュー

「行雲流水で舵を切る」——57歳・ひとしさんが語る、男性更年期を越えるまで

otokono-kounenki

いつもと同じ朝。同じデスク。同じ会議室。
それなのに──話している言葉が、まるで指の間からこぼれる水のように、頭の中をすり抜けていく。
理由のわからない重さが、背中から肩へ、じわりじわりと絡みついてくる。

「これは、気のせいじゃない」
そう感じたひとしさんは、迷うことなく、受診を決めました。
医療の力、そして日々の中でふっと生まれる笑いに救われながら、少しずつ日常を取り戻していきます。

やがて見つけた、新しい生き方の指針。
──「過去に縛られず、未来に焦らず、今を味わう」。

ここから先は、ひとしさんが歩んできた道のりを、あなたと一緒にたどっていきたいと思います。

ひとしさん、この度はお忙しい中、インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。
まずは、今回お話をお聞かせくださるひとしさんについて、ご紹介させていただきます。


ひとしさんのプロフィール

57歳(2025年8月時点)、会社員、既婚、子あり。

心身の不調を自覚し、2025年4月に男性更年期障害を疑って専門外来を受診。血液検査でテストステロン値の低下が確認され、男性更年期障害と判明しました。

これまでにホルモン補充の注射を6回行い、並行して漢方薬による治療を継続中です。

自分でできる生活改善や筋トレなども取り入れながら回復に向けて歩みを進めていますが、まだ回復途上にあります。

それでは、早速インタビューにまいりましょう。

どうぞよろしくお願いいたします。

タツヤ
タツヤ

その瞬間、“いつもの自分”が戻ってこないと悟った

会議での発言が耳をすり抜け、記憶にアクセスできない焦り。理由のわからない疲れがじわじわと生活を侵食していく——。
多くの人が「まだ大丈夫」とやり過ごす中で、ひとしさんはその違和感を“気のせい”にせず、早く動きました。その選択が、回復への道を大きく変えていったのです。

男性更年期障害と診断される前、ご自身の心や体に「今までと違うな」と感じた瞬間はありましたか?
それはどんな場面で、どんなふうに感じましたか?その時、不安や違和感をどう受け止めたり、ごまかそうとしたりしましたか?

タツヤ
タツヤ

「今までと違うな」という感覚は明確にありました。
会議の場で他のメンバーの発言内容が頭に入らなくなりました。主旨、論点の理解と適切な解答の組み立てに時間を要するようになったことを感じました。頭の中にある情報や過去の経験の記憶に短時間でアクセス出来なくなり、不安感と焦燥感が募っていきました。その不安感や違和感の出所が自分でも理解できず、自分が壊れたような感覚を持ちました。周囲に迷惑は掛けられないと考え、ごまかそうとはせずに、症状が出た早いタイミングで家族や信頼できる同僚、上司に状況を報告する共に相談もしました。

ひとしさん
ひとしさん

ひとしさん、この状況で早い段階からご家族や職場の仲間に相談された判断、本当に素晴らしいです。多くの方は「まだ大丈夫」と抱え込んでしまいがちですが、ひとしさんのように“見て見ぬふりをしない勇気”が、回復への最短ルートになるんですよね!職場でのオープンな対応は、周囲の理解も得やすく、同じ境遇の方にとって大きな希望になります。

このとき、相談を受けたご家族や上司からの最初の反応はどんなものでしたか? その反応が、後の治療や気持ちの持ち方にどう影響しましたか?

タツヤ
タツヤ

妻は、自身が更年期障害を経験していたこともあり、泰然自若な受け入れというか、年齢的にもあることと自然体で理解をしてくれました。上司も症状などについての質問があり、通常の雰囲気と態度で相談として受け入れて頂いた感じです。私の反応としては、不安感が和らぎ、治療に対して集中する気持ちとなりました。

ひとしさん
ひとしさん

奥さまも上司の方も、落ち着いた受け止め方をしてくださったのは本当に救いでしたね。特に、奥さまがご自身の更年期経験を通して自然体で理解してくれたことは、ひとしさんの孤独感を減らし、心の安全地帯を確保するうえで大きかったと思います。男性更年期では「症状そのもの」よりも「理解されないこと」がストレスを増幅させるケースが少なくありません。だからこそ、ひとしさんのように早期にオープンに共有し、周囲の理解を得られる環境をつくることは、治療効果を後押しし、気持ちの立て直しにも直結すると思います。このエピソードは、多くの方にとって“相談する勇気”の大切さを示す実例だと思います。

周囲の理解を得られることは、心の支えになる一方で──診断がついた瞬間には、また別の感情が押し寄せてくることもあります。特に男性更年期の場合、「病名がつく安心感」と同時に、「これから自分はどうなるのか」という不安や、男性としてのプライドへの影響を感じる方も少なくありません。

そこでお聞きしたいのですが──

不調の正体が「男性更年期障害」だとわかったとき、その診断名は、ご自身の「男性としてのプライド」や「役割」にどんな影響を与えましたか?
たとえば、ほっとした、戸惑った、ショックだった、など、どんな気持ちが一番強く湧きましたか?できれば、率直な気持ちを教えてください。

タツヤ
タツヤ

正直ほっとしました。心身不調の原因が判明し、治療方法と自分として出来る対処方法を取れるという気持ちになり安堵感も感じました。併せて年齢から考えても、無理は効かない自身であること自覚しました。

ひとしさん
ひとしさん

「ほっとした」というお言葉、すごくリアルでとても共感します。診断名がつくことで“敵の正体”が見え、戦い方も具体化しますよね。わたしも全く同じ気持ちでした。無理を効かせる時期から、無理を整える時期への切り替え――多くの男性がもっと意識していい変化だと思います。

タツヤ
タツヤ

議論についていけない自分。焦りと割り切りの狭間で

テンポが合わない、心が空回りする——そんな日々は、自信を静かに削ります。
それでも、ひとしさんが選んだのは“諦め”ではなく、“割り切り”。そこには、病気の特性を理解したうえでの覚悟と、周囲の温かい理解がありました。

男性更年期障害の症状によって、自分の感情や行動が「前とは違う」と強く感じたのは、どんなときですか?
特に「他人にはわかってもらえない苦しさ」を感じたエピソードがあれば、具体的に教えてください。

タツヤ
タツヤ

精神的には議論に弱くなり(元々営業職の為、議論は苦手では無かった)、物事の本質や核心を把握するのに時間が掛かるようになりました。何かと得体の知れない不安感を感じる機会が増えたことに以前とは違うなと感じました。身体的には、日には因るのですが、朝の倦怠感や疲労感が強い時があること。以前ならば楽しめた遊びやスポーツも心からワクワクしなくなった、総じて不安愁訴を感じる機会が増えました。
他の人からわかって貰えない苦しさについては、これは自分の中で解決するしかないと考えるようにしていますが、倦怠感や集中力が続かない症状があることを理解して貰えると気持ちとしては助かるとは感じますが、男性更年期症状への社会的な認知の広がりはまだ道半ばと感じていますので、ある程度割り切っています。

プリセット6
プリセット6

この「割り切る」という姿勢、簡単そうで実はとても難しいものですよね。不安や集中力低下を抱えながらも、ご自身で“心の境界線”を引けているのは大きな強み、読者の方への実践モデルにもなります。

割り切るまでの間、どんな考え方や出来事が“切り替え”のきっかけになりましたか?

タツヤ
タツヤ

全ての病の症状や辛さは本音からいうと当事者と経験者でないと、わかり得ないと元から感じていたところはあります。特に更年期障害は、症状が心身の外側からは判別しにくいところがありますので、自身に診断があったあと早い段階で辛さへの割り切りも必要だなと感じたことを覚えています。一方で重複しますが、私が病であることへの周囲からの理解が比較的あったことと業務への影響も想定より小さく出来たことも割り切れた背景かもしれません。

ひとしさん
ひとしさん

こんなふうに、不安や倦怠感を抱えながらも、自分なりの境界線を引きつつ周囲との関係を保ってきた姿勢は、とても現実的で力強いと感じます。
そして、その過程で得られた「受け止めてもらえる環境」は、まさに回復を支える土台になっているように思います。

では、心や体が「自分のものじゃない」と感じたことはありますか?
もしあれば、その感覚が、仕事や人間関係、将来についての考え方にどんな影響を与えましたか?たとえば、転職や生き方の見直しなど、具体的な決断があれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

男性更年期と判明する直前にはそう感じたことがあります。仕事については
これまでの回答と重複しますが、集中力や即応性を要する業務の遂行には難しい時があります。人間関係に仕事上では幸い自らの不調を周囲に話せる環境でしたので、業務のバックアップに支援をして頂いたことから周りの仲間達の温かさを改めて感じました。今も周囲の皆には感謝しています。生き方としては、より身体と健康の状態に向き合う機会と体調を整える時間を持つようになりました。

ひとしさん
ひとしさん

“話せる環境”は、最大の治療資源だと思います。男性更年期は孤立が悪化因子になりやすいですが、信頼できる人に共有できたことって、回復の下支えになっていますよね。

職場や家庭で「話しやすい空気」をつくるために、ひとしさんが実際に心がけた一言や段取り的なものがあれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

心がけた一言は特段無かったと思います。普段通りのトーンで相談として切り出しました。段取りとしては会社に対しては、信頼が出来る上司、業務のバックアップで迷惑を掛けてしまう同僚の中でもキーマンから話をしました。

ひとしさん
ひとしさん

普段通りのトーンで切り出す、というのは実はとても大事なポイントなんですよね。深刻さを前面に出しすぎると、聞く側も身構えてしまい、かえって距離が生まれることがあります。でも、ひとしさんのように落ち着いた雰囲気で、まず信頼できる人から順番に話すことで、「ちゃんと受け止めてもらえる空気」を自然につくることができたのではないかと思います。このアプローチは、同じように職場や家庭で相談したいと思っている方にとって、大きなヒントになるはずです。ありがとうございます。

タツヤ
タツヤ

救ってくれたのは、特別なことじゃない日常のひと言

必要だったのは、高価な治療や特効薬ではありません。
家族や友人からの何気ない声かけや笑い声が、心の底から力をくれました。たった一言で、人の心は再び立ち上がれる——その瞬間をひとしさんは鮮明に覚えています。

男性更年期障害を経験する中で、ご家族やパートナー、友人など「身近な人」との関係にどんな変化がありましたか?
特に支えてくれた人、逆に距離を感じた人、それぞれとのエピソードがあれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

家族は食事やちょっとしたことへの日常的な声掛けなど温かくサポートをしてくれました。家族の絆に救われた気持ちでいます。私の状況を伝えた友人達も同様に励ましや気分転換を進めてくれたり、飲みに付き合ってくれたり、更年期となったことで返って距離感は縮まりました。とても環境としては有難かったです。一方で孤独はこの病を悪化させる要因のひとつとも感じています。

ひとしさん
ひとしさん

わたしは、心の免疫力は“人とのつながり”から生まれると思っています。距離が縮まったという実感は、とても心強いデータポイントですよね。孤独を避けることの重要性が伝わります。

家族や友人との関係が、病気をきっかけにむしろ近づいたというのは、とても希望の持てるエピソードですね。男性更年期は、どうしても「弱さを見せたら距離を置かれるのでは…」という不安がつきまといますが、ひとしさんのようにオープンに伝えられることで、むしろ人間関係が深まることもある。この事実は、多くの方の背中を押すはずです。

では、「こんなふうに支えてもらえて嬉しかった」「この言葉に救われた」という体験があれば、ぜひ教えてください。
逆に「こう言われてつらかった」「理解されず孤独だった」と感じた瞬間もあれば、率直にお聞かせください。

タツヤ
タツヤ

家族が適宜コミュニケーションを図ってくれたことが救いでした。他愛のない日常会話やテレビを一緒に観て笑ったり、話題としてくれたりして、気軽な日常の些細な言葉の往来があることが不調の底の頃、とても嬉しかったです。救われた言葉としては「貴方の価値は、これまでの仕事や他者との接し方で周囲の皆が十二分に認めている。それでいいじゃない。」という妻からの一言と同僚でもあり友人でもある仲間から「これまで走りすぎてきたから、少しゆっくりして下さい」という言葉には、とても救われたこと、気持ちが楽になったことを覚えています。

ひとしさん
ひとしさん

その言葉…私まで胸が温かくなりました。大切な人からの一言は、薬以上に効くときがありますからね。まさに“回復スイッチ”ですよね!

特に、これまでの努力や存在そのものを肯定してくれる言葉は、「これでいいんだ」という安心感を与えてくれますし、前を向くエネルギーになります。こうした経験は、きっと同じように悩む方にとっても大きなヒントになりますね。

それでは、もし、今のひとしさんが、過去のひとしさんに一言だけ届けられるなら、何と言いますか?

タツヤ
タツヤ

過去の自分を更年期障害発症前の自分へだとすると、「ストレス管理を意識しろ」、「その為のコストは無駄ではない」と言いたいです。

ひとしさん
ひとしさん

「ストレス管理を意識しろ」というメッセージ、本当に核心を突いていますね。多くの方が、忙しさや責任感の中で“ストレス管理にコストをかける”発想を後回しにしてしまいます。でも、そのストレス管理こそが、健康や人生の質を守る最大の防御策になります。過去の自分へのアドバイスは、今この瞬間にも多くの人に届けたいメッセージだと感じます。ありがとうございます。

タツヤ
タツヤ

任せすぎない。頼りながらも、自分で守る健康

医療に頼るだけでなく、自分の手でも整える。
ウォーキング、温泉、筋トレ——試しながらも継続することで、体も心も確かな変化を感じてきました。信頼できる医師との出会いは、その挑戦を支える大きな追い風になっています。

日々の暮らしの中で、「これをやると少し気持ちが軽くなった」「これが心の支えになった」という習慣や工夫はありましたか?
どんな小さなことでも構いません。よければ具体的に教えてください。

タツヤ
タツヤ

不調前からの習慣ですが「朝のウォーキング」(45分程度しています)に、適度なサウナと温泉での入浴の継続です。症状が判明してからは、ちょっとした気晴らしとしてのドライブや遠出(そのプランニング)、ジムでの筋トレを週2回程度すること。それと家族や友人との気軽な他愛のないコミュニケーションです。この家族や社会との接点の維持が私としてはとても大切なことだと感じています。

ひとしさん
ひとしさん

“五感に効くセルフケア”が揃っていますね。ウォーキングや温泉は自律神経の安定に、筋トレはテストステロン低下対策に直結します。継続性という観点でも非常に良い設計だと思います!

では、治療を始めてから、ご自身の心や体との向き合い方はどのように変わりましたか?
「もっと早くこうしていれば」と思ったことや、セルフケアの大切さを実感したきっかけがあれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

採食主義まではいきませんが、お肉や油モノを兼ねてからもう少し日常的に摂取しておけば良かったと感じています。それとストレス耐性があるほうだと過信していた面があると反省しています。ストレスは目に見えず蓄積、自律神経の乱れや男性ホルモンの抑制を招いたと考えています。ストレスの解消に役立つ趣味やスポーツを以前から積極的に取り入れるべきだったと実感しています(反面これは年齢を重ねると難しいところでもあると感じています)。

ひとしさん
ひとしさん

「ストレス耐性があると思い込んでいた」――これ・・・多くの男性がハッとする気づきですよね。過信を手放し、定期的なガス抜きを組み込むことは、健康寿命の観点でも必須です。

そうした“これまで意識してこなかった部分”への気づきは、医療との向き合い方を見直すきっかけにもなったのではないでしょうか。

実際の治療の中では、希望を感じられる場面もあれば、逆に副作用や相性に悩むこともあったと思います。そうした中で、「自分の健康を自分で守ること」と「医療に期待すること」のバランスについて、どんな考えを持つようになりましたか?
信頼できる医師との出会いや、ご自身なりの判断基準があれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

いまのところ、現在の病院、ドクターには感謝すると共に信頼を寄せています。副作用の説明が確りとありましたし、幸いなことに副作用は感じていないです。自己の健康を守る視点では、まずは自己管理(特に社会人、管理職はストレス管理)の意識を自らを過信せずに持つこと、医療に期待することとしては、男性更年期外来の増加とホルモン注射や漢方薬利用の保険適応の継続。またメンタルヘルス系のクリニックのドクターにも男性更年期障害についての認識をより広げて頂いてメンタル面での男性受診者には、テストステロン値の血液検査実施への勧めなどをして頂けると男性更年期症状の判別や適切な治療に最短でのアクセスが出来るようになると考えます。ドクターへの判断基準は、素人にもわかり易い丁寧な説明と、不安や自己で出来る対処方法などの相談に対する適切なアドバイスがあるかどうかだと自分は考えます。

ひとしさん
ひとしさん

“任せすぎず、自分でもちゃんと守る”っていう、そのバランス感覚がすごくいいですね。信頼できるドクターとしっかり関係を築けているのも、すごく心強いポイントだと思います。

実際、いいドクターに出会えなくて、かえって悪化しちゃった…っていう話も聞いたことがあるので、そういう出会いって本当に大事ですよね。

では、医療機関選びで「ここだけはぜひ確認しておくべき」と感じたチェックポイントを教えてください。

タツヤ
タツヤ

ドクターの専門性と(他方で私の居住地域では専門外来はまだ少ないです)、これは更年期障害に限ったことではありませんが、定期的な通院を想定して仕事を持つ身であれば、通院のし易さと予約の取り易さも確認ポイントだと思います。

ひとしさん
ひとしさん

専門性の確認や通院のしやすさ、これは本当に大事なポイントですね!

特に男性更年期は、定期的な検査や治療が必要になるケースが多いので、「通い続けられるかどうか」は軽視できません。そして、信頼できる医療者は、症状や数値だけでなく、生活全体を見てくれる人です。そういうドクターとつながれると、治療は単なる“通院”ではなく、未来の健康を一緒につくる時間になると思います。

タツヤ
タツヤ

情報に振り回されない。“試して選ぶ”実践主義

情報はあふれている。でも、自分に合うかどうかはやってみなければ分かりません。
筋トレは続け、瞑想はやめた——その判断は体感と結果に基づくもの。情報を見極め、主導権を手放さない姿勢がそこにあります。

男性更年期障害について情報を集める中で、「何を信じればいいのか分からなくなった」と感じたことはありませんか?
ネットや本、他の当事者の声との向き合い方について、ご自身なりの工夫や気をつけていることがあれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

複数の情報源を確認することとしています。日常的に生成AIなども使いますが、同様に考えています。他方で、薬以外の健康法については、まず実践してみるという視点も重要視はしています(更年期判明後に本格的に取り入れた筋トレがそれです)

ひとしさん
ひとしさん

なるほど!実践派ならではの視点が素晴らしいですね。
情報は取捨選択が難しいですが、「やってみる」ことでしか得られない答えも多いと思います。筋トレの導入は、その好例だと思います。
そこでお伺いしたいのですが、健康法で“試してみてやめたもの”や“続けたもの”を判断する際の基準(期間・体感・数値など)はありますか?

タツヤ
タツヤ

発症してから、試してみて止めたのは、瞑想です(2週間・効果が判りにくかった)。

続けたものは筋トレ(早い段階でストレス解消の効果を感じて4ヶ月継続・体重増減はなし)です。

ひとしさん
ひとしさん

瞑想ですか。わたしも取り入れました。マインドフルネスです。確かに効果は実感しずらいかもしれませんね。やはり、筋トレはいいです。私も、男性更年期に入ってから、筋トレに目覚めてしまいましたので、とても共感します。

一方で、体だけでなく気持ちの面での向き合い方も大切ですよね。

男性更年期障害を経験して、「自分の弱さや不調」を周囲に伝えることに、どんな葛藤やためらいがありましたか?
「男は弱みを見せてはいけない」という思いに苦しんだことはありますか?
また、その壁をどう乗り越えたか、もしくは乗り越えられなかった時に、どんな“心のよりどころ”がありましたか?

タツヤ
タツヤ

これについての葛藤や躊躇いはありませんでした。周囲、特に仕事面で周囲や後輩達に迷惑を掛けられないという気持ちがありましたので、自分の不調について支援、バックアップが必要なことをいち早く報告、対応をお願いしました。開き直るわけではありませんが、病気だから治療をしたい、そしてこれは病として仕方がないという気持ちです。

ひとしさん
ひとしさん

“弱みを見せられる”のは”強さ”でもあり、この強さをもっていることが、男性更年期を乗り越える最短ルートだと思います。早い共有とヘルプ要請が、自分も周囲の人たちも守ることにつながりますからね。

そうした姿勢は、周囲だけでなく社会との関わり方にも影響を与えているのではないでしょうか。

この病気を経験したことで、ご自身の「社会との関わり方」や「社会に貢献したい気持ち」に何か変化はありましたか?例えば、ご自身の経験をどんなふうに社会に活かしたいと考えていますか?将来に向けて描いているビジョンがあれば教えてください。

タツヤ
タツヤ

男性更年期障害とその症状については、未だ、社会的な認知の広がりは道半ばと感じています。この障害(病気)と症状について私が話をすることで少しでも適切な治療に辿り着ける方がいて頂ければと考えてはいます。男性更年期の症状は独りで苦しむと辛いことも非常に多いと思います。本格的にメンタル系にくると自己の価値の否定や自信の喪失に繋がり回復が遅れると感じています。

ひとしさん
ひとしさん

ご経験を“橋渡し”にしたいという想い、とても素晴らしいと思います。男性更年期はまだ社会的認知が十分とは言えず、「弱っている自分」を語りにくい方も多い。だからこそ体験を言葉にしてくださること自体が、治療につながる導線になります。ありがとうございます。

そのお気持ちを踏まえて、ぜひお聞きしたいのですが――

男性更年期障害でお悩みの方々に“最初の一歩”として勧めたい行動(受診・検査・家族への共有など)を一つ挙げるなら何でしょうか?

タツヤ
タツヤ

最初の一歩は受診=検査です。血液検査をすることでテストステロンの定量的数値によって更年期障害であるか判明しますので、心身の健康面において確かで重要な指標であると考えています。

ひとしさん
ひとしさん

不調の原因がわからないまま苦しむ時間は、本当に心を消耗させますよね。検査で現状を知ることが、そこから抜け出す大きな希望になると強く感じました。とても大切な視点をありがとうございます。

タツヤ
タツヤ

行雲流水。流れを受け入れ、舵は自分で切る

量から質へ、そして肩の力を抜く勇気へ。
男性更年期の経験は、ひとしさんに“自然に生きる”という新たなコンパスを与えました。
「過去に縛られず、未来に焦らず、今を味わう」——その生き方が、同じ道を歩く人の背中を静かに押していきます。

男性更年期障害の経験を振り返ったとき、「つらかったけれど、この経験が自分にとって意味があった」と感じることはありますか?
たとえば、これまで気づかなかった自分の強みや、人生の新しい価値観など、得られた“宝物”について教えてください。

タツヤ
タツヤ

これまでは業務遂行の量を強く意識してきましたが、業務の質への転換、これまでの経験や判断の軸などを一層活かしていくこと、また今更ですが、過信しないストレス管理に気付いたところは意味があったと感じています。
そして、これまで病らしい病を経験してこなかったからこそ、自身が弱った時の家族や周囲の仲間の支援と励まし、これは、宝物以外の何物でもありません。

ひとしさん
ひとしさん

「家族や周囲の仲間の支援と励ましが宝物」、まさにその通りですね。量から質へ、そしてストレス管理への洞察――逆境からの学びがとても深いです。

では、ご自身のこれまでの経験の中で「もしあの時、この言葉を知っていたら、もっと楽になれたかもしれない」と思う“一言”があれば教えてください。
その言葉には、どんな思いを込めていますか?

タツヤ
タツヤ

「行雲流水」雲や水のように自然に生きる。

自らの心身に語り掛け、著しい無理はしない。時に他人に任せる、頼る。
気配りもほどほどにし、自分の気持ちに正直に生きる、話す、ことも重要。

ひとしさん
ひとしさん

「行雲流水」。しなやかな強さが宿る素敵な言葉です。流れに身を任せるのは、実は高い自己信頼があってこそ出来る選択ですよね。

しなやかに流れを受け入れるその生き方を踏まえて、今後の人生について教えてください。

今後の人生で「こんな自分でありたい」「こんなふうに年を重ねていきたい」と思うことがあれば、自由に教えてください。
また、同じように悩む方への“メッセージ”を、ぜひお願いします。

タツヤ
タツヤ

「過去に縛られず、未来に焦らず、今を味わえる人でいたいと共に年齢を重ねるほどに品が増すような人でありたい」と考えています。

同じように悩んでいる方には、まずは病院で適切な検査と判断に治療を受けることと必ず治ると信じて進むことをお伝えしたいと思います(私自身、そう考えて治療を継続しています)

ひとしさん
ひとしさん

すばらしい!“今を味わう”という姿勢は、男性更年期を越える上での中核メッセージ。検査・治療へ一歩踏み出す背中押しにもなっています。

力強いメッセージをありがとうございます。

あらためて、他にもお話しされたいことがあればぜひどうぞ。

タツヤ
タツヤ

私自身、男性更年期障害に掛かるとは晴天の霹靂ではありました。だからこそ、言えるのですが、会社員、それも一定の立場の管理職にとってストレスは見えない敵です。日々のストレス管理、ご自身にあったストレス解放の方法を確りと意識していくことが、男性更年期を回避すると共に健康寿命を延ばすポイントだと考えています。

ひとしさん
ひとしさん

現場感あふれる“ストレスは見えない敵”という指摘、重みがあります。予防は日々のストレスマネジメント設計から――この視点は多くのビジネスパーソンの助けになります。

この実感を伴ったお言葉は、同じ立場の方々にとって強い支えになるはずです。

今回、ひとしさんがご自身の経験を惜しみなく言葉にしてくださったことで、男性更年期に向き合う多くの人の心に、灯りがともったはずです。

この度は貴重なお話を本当にありがとうございました。

ひとしさんのこれからが、ますますしなやかで豊かな時間になりますよう、心から願っております。

タツヤ
タツヤ

おわりに

男性更年期は、誰にでもやってくる“心と体の節目”だと思います。
早めに気づいて、誰かに話してみる。そして、自分なりの整え方を探していく——その一歩一歩が、少しずつ日常を取り戻す力になっていきます。

「行雲流水」。流れに逆らわず、でも舵だけは自分で握る。
ひとしさんはまさにその姿勢で、受け入れることと挑戦することを、日々積み重ねてきました。

診断を受けたときの安堵、続く不安とのつき合い方、周囲との支え合い、そして自分の体と心に正面から向き合う日々——。
その歩みは、同じ道を歩いているあなたの背中を、静かに、でも確かに押してくれるはずです。

どうかあなたも、自分の“舵”を手放さないでください。
流れの中にあっても、絶対に進む道は必ず見えてきます。

男性更年期障害の克服に必要なのは「ひとりじゃない」と思えること

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ABOUT ME
タツヤ
タツヤ
男性更年期障害予防改善アドバイザー
1971年生まれ。
2010年頃から動悸、めまい、発汗、倦怠感などの症状に悩まされる。
様々な病院で検査を受けるも原因が分からず『診断難民』状態に。
その間、体調は悪化するばかり。
2019年頃から体調不良(不定愁訴)が顕著に現れる。
2022年11月ホルモン検査の結果、男性更年期障害の診断を受ける。
以降、テストステロン補充療法を中心に治療を続け、合わせてテストステロンをアップさせるための生活習慣の改善に取り組み、2023年11月時点、テストステロン値も正常になり、男性更年期障害の症状は改善する。
現在は、自身の経験を活かし、SNS(X【旧Twitter】)やblog、同じ悩みを持つ方々によるコミュニティ、さらには各種メディア出演など通じて、男性更年期障害を中心としたメンズヘルスに関する情報を発信している。

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■スーパーJチャンネル(テレビ朝日)※2023/11/24放送
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■Yahoo!Japan NEWS
■TBS NEWS DIG
■ぶんか社 comicタント(vol.50) 漫画(熊田プウ助『中年肉体百科』)の原作協力
■週刊SPA!(2024年 1/16・23号)
ほか

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