男性更年期障害は、パートナーが直面する現実であり、社会全体の課題でもあります

もし最近、「なんだかパートナーの様子が違う」と感じていたら、それは単なる気のせいではないかもしれません。イライラ、無気力、距離感…。それらは男性更年期障害のサインかもしれません。この文章では、変化に戸惑うあなたに寄り添いながら、男性更年期を“ふたりで乗り越える”ための具体的なヒントをお届けします。

見過ごされてきた「男性更年期」──その影響はあなたと家庭、社会にも
「更年期」と聞いて、まず思い浮かぶのは女性の心身の変化という方が多いのではないでしょうか。
でも、実は男性にも“更年期”があります。そして、多くの場合、当の男性本人よりも、 いち早くその変化に気づくのは、あなたのような“パートナー”です。
男性更年期障害(LOH症候群)は、男性ホルモン・テストステロンの減少によって起こる心身の不調です。推定患者数は600万人ともいわれ、決して少なくありません。
しかし、厚労省の調査によれば、8割以上の男性が「男性の更年期」をほとんど知らないか、詳しく理解していないという状況。
パートナーの立場であるあなたが、「あれ?最近なんだか様子が違う…」と感じる違和感。
それが、男性更年期障害の最初のサインかもしれません。
パートナーだからこそ気づける“見えない不調”のサイン
あなたのパートナーに、こんな変化はありませんか?
- 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなる
- 以前は楽しみにしていた趣味や会話に興味を示さなくなる
- 仕事から帰っても、ひと言も話さず無表情のまま
- 寝つけずに深夜までスマホを見ている
- スキンシップや性的な関心が薄れ、距離を感じるようになった
こうした変化に、最初に気づけるのは、家族でも友人でもなく、毎日そばにいるあなたです。
彼自身が「年のせいかな」「疲れてるだけ」とやり過ごしてしまうその違和感に、 あなたが早く気づくことが、回復の第一歩になります。
テストステロンとストレス──“男らしさ”の中にある脆さ
男性ホルモンであるテストステロンは、20代をピークに徐々に減少していきます。 でも、その減少は一人ひとり違い、わかりにくいため、男性本人も見逃しがちです。
特に注意したいのは、「ストレス」によってテストステロンがさらに低下すること。
あなたのパートナーが抱えている仕事のプレッシャー、周囲への気遣い、家族を守ろうとする責任感── そのすべてが、逆に体調を崩す原因になっている可能性があります。
テストステロンが下がることで、不安・抑うつ・性欲減退・疲労・無気力が続く……
そしてまた、それが新たなストレスを呼ぶ──
この“負のスパイラル”に、今、多くの男性が静かに飲み込まれているのです。
あなたにできる5つのサポートステップ
「どう接すればいいかわからない」
「怒らせないようにしているうちに、自分がしんどくなってきた」
そんなあなたに、今日から実践できる5つのサポート方法をご紹介します。
① 正しい知識を持つ
「性格が変わった」「冷たくなった」と感じたら、それを“性格”ではなく“体調”と見てください。 ホルモンの問題だと知ることで、あなたの心も少し軽くなるはずです。
② わかりやすい言葉で、気持ちを伝える
「私は最近、ちょっと不安なんだ」──あなたの気持ちを“責めずに”伝えることが大切です。
③ 小さな行動を認めてあげる
「ありがとう」「助かったよ」「今日もお疲れさま」 そのひと言が、彼のテストステロンをそっと後押ししてくれます。
④ 一緒にできることを増やす
一緒に散歩する、一緒にごはんを作る── 生活習慣を整えることは、あなたにとっても癒しになるはずです。
⑤ 無理に変えようとしない
焦らず、少しずつでいい。 彼が病院に行きたがらないときは、「血液検査だけでも受けてみようか」と、やわらかく声をかけてみてください。
さらに詳しい対処法は、私の著書で
『男性更年期 あなたの大切な人が変わったと感じた時に読む本:イライラ・ED・コミュ不足・セックスレス…“自分を守りつつ”二人で乗り越える具体策』にも収録しています。
「どう支えたらいいの?」「私まで限界かも…」そんなあなたに寄り添い、解決のヒントを実例とともに紹介しています。

すれ違いを、絆に変えるチャンスに
あなたの大切な人が変わってしまったように見えるこの時期は、 確かに不安で、戸惑いもあるかもしれません。
でも、それは“関係が終わる”というサインではなく、
“関係をアップデートするタイミング”なのかもしれません。
あなたが変化に気づき、知識を持ち、あたたかく見守ること。
そのすべてが、これからの二人の関係を強くする“土台”になっていきます。
男性更年期は、夫婦・恋人・パートナー──どんな関係であれ、
“ふたりで乗り越える”べき人生の転換点です。
あなたのそのやさしさと勇気が、きっと光になります。